相談前
相談者様は長年経理の仕事の携わってきた方で、その経験を買われ、A社に入社しました。ところが、入社後、経験を活かせる仕事をさせてもらえず、さらには部署内で上司や同僚から嫌がらせを受けるなど業務遂行上のトラブルが生じたため、相談者様は望んでいない総務人事部に移動することとなりました。総務人事部に移動してからも上司や同僚からの嫌がらせが続いたため、これまでのパワハラに関する事実を監査役に相談しました。しかし、状況改善のための対策がとられることはありませんでした。 パワハラが常態化しており、さらには仕事に対して適切な評価を得ることができていないと感じた相談者様は、状況を改善するべく、当事務所にご相談に来られました。
相談後
受任後、パワハラ及び、相談者に適切な評価をしないA社に対し、状況を改善するよう通知書を送付しました。しかし、改善は見られず、相談者様は作業勤務態度に誠意がない、業務遂行能力に著しい問題があるとしてA社から解雇通知を受けるに至りました。 相談者様との打ち合わせを通して、かかる解雇が不当なものであることはもちろん、給与の一方的な減額、残業代の未払い、パワハラ等、A社の対応には多くの問題があったことが判明したことから、迅速かつ実効的な問題解決のため、当職は労働審判の申立を行うこととしました。 解雇の有効性については、パワハラにより円滑な業務遂行が害されている、望んでいない総務人事課に移動させられ今までの経験をいかすことができない環境で仕事をさせられるといった、A社側の対応に問題があったにも関わらず、相談者様に責任を押し付け、職務遂行能力が著しく低いと判断し解雇するのは、解雇権の乱用にあたると主張しました。 給与減額についても、A社側の問題を考慮に入れず一方的に相談者様を責め、減額という不利益変更を行うことは違法であると主張しました。 残業代については、A社が残業代が発生しないようにデータを書き換えそれに基づいて給与の支払いを行っていたことを明らかにし、未払い分の支払いを請求しました。 またパワハラに関しましても、これによって精神的な損害が生じたとして、慰謝料の請求を行いました。 最終的には、A社側と調停が成立し、解雇通知を撤回させ、その後合意解雇を改めて行い、賃料や残業代の未払い分を含む解決金約200万円の支払いを受けることで解決することとなりました。
