相談前
相談者Aさんは、ある会社をBさんと共同で経営していました。会社建物はBさんが所有していたところ、Bさんがお亡くなりになったことで、Bさんの子らが、Aさんに会社建物を明け渡せと請求してきたという相談でした。 Aさんは、Bさんが書いた遺言のようなメモを持っており、そこには「死後、会社はAさんに任せる、Bさんのものは全てAさんに差し上げる」といった内容が書かれていました。 Aさんは、このメモがあるので、会社建物は自分が譲り受けたのであり、明け渡す必要はないとの主張でした。
相談後
これらメモは遺言であるとして、家庭裁判所で遺言の検認手続きを行いました。 訴訟においては、メモが遺言として有効かどうかが争われたところ、結果的に遺言としては有効ではないが、Aさんの意思が尊重される形での和解が成立し、Aさんはその後も長期間にわたり会社建物を使って会社運営ができることとなりました。
弁護士からのコメント
本件で問題とされた「メモ」は、遺言書という文字もなく、チラシの裏に殴り書きされたようなもので一見して遺言として有効とは思えないようなものでしたが、当方は、遺言として有効であると主張しました。遺言の有効性が争われる事案は、結果が0か100かというように大きく異なります。当方は、AさんとBさんの関係を示す証拠を相当数出すなど、Bさんの思いとして、Aさんへの建物贈与の意思があったことの立証に努めました。その結果、Bさんの意思は尊重されるべきだとして、本件建物を相当期間使用できるという内容で和解が成立しました。