会社の共同経営者の「遺言」の有効性を巡る争い。遺言とは認められなかったが、和解により解決。

相談前

会長Aと社長Bが出版社を共同経営していました。会長Aと社長Bは既に死亡していたのですが、社長Bの娘でこの会社の後継社長として経営にあたっていた相談者からの依頼でした。内容は、会長Aが書いたメモが2つ出てきたとのことでした。一つは「死後はすべて、社長Bに一任します」もう一つは「私名義のものは全てB社長に差し上げます」といった内容でした。会社の建物は会長Aの名義だったのですが、会長Aと社長Bは親族ではないため、会長Aが亡くなった後は会社の建物はAの相続人に渡ってしまいます。Aはこれを防ぐために、全てをBに渡しますというメモを書いたのだろうということでした。 しかし、Aの相続人は、このメモは遺言などではなく、無効であるとして、相談者に対し、会社建物を明け渡すよう請求をしました。

相談後

これらメモは遺言であるとして、家庭裁判所で遺言の検認手続きを行いました。 訴訟においては、メモが遺言として有効かどうかが争われたところ、結果的に一審では遺言としては有効ではなく、相談者に対する明渡しを認めました。これに対し控訴をしたところ、高裁において、会長Aの意思は尊重される形での和解が成立し、相談者は7年間会社建物を使って会社運営ができることとなりました。

弁護士からのコメント

本件でのメモは、新聞折りこみチラシの裏にマジックで殴り書きされたようなもので一見して遺言として有効とは思えないようなものでしたが、どのような紙面に書かれるとしても遺言としては有効であると一貫して主張しました。裁判官は、大変悩む事案という心証のようでしたが、結果的に、一審では遺言とは評価せず、明渡しを認めました。遺言の有効性が争われる事案は、結果が0か100かというように大きく異なります。もっとも、当方は、A会長とB社長の仲の良い関係を示す写真を相当数証拠化するなどしており、高裁の裁判官からは、遺言は無効とならざるを得ないが、A会長の意思は可能な限り尊重すべきだとして、相談者が本件建物を今後7年は使用できるという内容で和解が成立しました。

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